ド田舎文藝部の暇潰し

都留文で人文

【番外編】丸亀製麺を楽しめ!!

 

 

突然だが諸君、うどんは好きかね?

 

私はうどんが大好きだ。

 

その食べ応えはそばに勝り、その腹持ちはラーメンに勝る。

 

つまりうどんは麺類の中の麺類、かの中華大陸を制するラーメンを超え、年末日本人のソウルフードであるそばをも凌駕するトップオブザ麺類ということだ。

 

そんなうどんの魅力をもっともっと伝えたい。

そのために私も一肌脱ごうではないか。

 

今回は全国シェアナンバーワンであろう「丸亀製麺」を例に取りたい。

 

ちなみに私は極度の讃岐うどん信者である。一回生で二度しか存在しない長期休暇にてどちらも香川県に行き、うどん店を自転車に乗り回しハシゴした。

 

讃岐うどんの魅力はなんと言っても「コシと食感のバランス」である。

 

口に入った刹那、訪れる圧倒的な質感!

 

その質感からは想像だに出来ない最高の硬さ!

 

このバランス感覚、ひとたび河原で石積みを始めれば、他の追随を決して許さないであろう最高のそれだ。

 

そんな讃岐うどんをお手軽に楽しめる「丸亀製麺」を紹介しようではないか。

 

丸亀製麺は入店直後に何のうどんにするかを選ばされる。

明太おろし、釜玉、とろろ……、それらは諸君の目を引くには十分すぎる魔力を放っている。

 

しかし、しかしだ、そこを待っていただきたい!!!

 

様々な魔力に打ち勝ち、どうにか、どうにか「ぶっかけ冷」を頼んではくれないだろうか!!

 

もちろん理由はある。ちゃんと説明をしよう。

 

まずはただのぶっかけにする理由だ。

ぶっかけうどん可能性の塊である。

そこに何をかけるか、何を付けるか、我々の想像力を溢れんばかりに掻き立ててくれる。

しかしだ、しかしそこで、他のうどんを頼んでしまってはどうなるだろうか。

それは可能性を狭める行為以外の何者でもない。自分たちから視野を狭めてしまっているのだ。それは盲目的としか言いようがない、そんなものは恋愛だけでいいのだ。

そういうことで、最初はぜひともただのぶっかけを頼んでいただきたい!!

 

そして、冷たいうどんにする理由だ。

理由は至極単純。讃岐うどん本来のバランスが最大限に発揮できるからだ。

暖かいうどんだと、その湯分からうどんは徐々に柔らかくなり続ける。

つまりは本来のコシと重量感が失われていくのだ。

それはもはや老化に等しい。

しかし冷たいうどんにすれば、その老化は防ぐことが可能だ。

人類が求め続けた不老不死、冷たい讃岐うどんにはそれを叶える魔法があるのだ!

 

さて、うどんを貰って進むと諸君の前には色とりどりの天ぷらが待ち構えている。

それらの放つ魔力は人類を空腹にすぐさま陥れ、腹の虫を刺激する。

 

しかし、しかしだ、そこを待っていただきたい!!

 

お会計を終えた先、その先に、丸亀製麺の真骨頂は存在するのだ!!

 

そう、お会計を終えると、そこに待っているのは、溢れんばかりのネギこぼれ落ちそうな揚げ玉である!

 

これらの健康の権化と血圧の権化、身体の陰陽を示さんばかりの運慶と快慶、金閣銀閣、慶応大学と早稲田大学、うどんの頂きはここにある。

 

これら二つ、黄金比がある。適当に入れることなど到底許される行為ではない。それは反逆罪にも値する。

 

もし君が「大サイズ」なら、ネギを3杯、揚げ玉を1.5スクープだ。

「並サイズ」それの半分、「得サイズ」ならそれの1.5倍だ。覚えやすいであろう。

 

この世に真理などは無いのかもしれない。そんなものが存在しない方が、世界は、宇宙は、幸福であるのかもしれない。

 

だが、これだけは真理だと私は言い続けたい!

 

 

ネギ、揚げ玉を入れ終えて満足してはならない。

最後に「天ぷら用醤油を一回し」を忘れてはならないのだ!!

これは丸亀製麺の一口目、「ネギと揚げ玉のみ」を楽しむためのマジックだ。

そんなアブラカタブラな醤油とネギの相性、そこに寄せてくるコレステロール。もはやこれだけでもいいのではないだろうかとすら思わせてしまう。

 

さて、好きな席について食べ始めよう。

諸君、食べる前に忘れてはならないことが一つだけある。

 

 

 

いただきます!!!!!!!

 

 

 

挨拶はコミュニティの壁を打ち破る。私と丸亀製麺の溝を埋め、職人が作ったうどん、農家が作ったネギ、溢れんばかりのコレステロールに感謝を伝えられる。

 

これだけはどこに行っても忘れてはならない。

私たちが人間たる理由は、ここにある。

 

一口目にネギと揚げ玉のみを食し、堪能する。

いつもと変わらない味、帰ってくる場所、ネギが揚げ玉が、私の舌先に「おかえり」と囁いてくる。

 

二口目、うどんをすする。

 

 

ウンメェ〜〜〜っっっ!!!!!

 

 

覆い被さるは重量感、宇宙の全てが舌先に集まる。

 

噛み砕くは質量感、地球の恵みを口全体で楽しむ。

 

飲み込むは開放感、心身二元論から解放された魂がうどんの中を彷徨う。

 

そして、丸亀製麺の麺は「その日その日で麺を打っているらしい」

茹で加減などの条件も相まって、味は日に日に絶妙に変わる。

 

「今日は駄目、柔らかいな」そんなおっさんの声が聞こえてくる。

 

なぜこれをネガティブに考えてしまうのだろう?

日に日に質感が変わるのがそんなにいけないだろうか?

 

ここで少しばかり想像していただきたい。

 

読者諸君とて、気になる女の子くらいいるだろう。

 

そんな女の子が髪型を変えて登場すれば、どう感じるか?

 

いつも結んでる髪を下ろした。

サラリとしたセミロングをハーフアップにした。

長かった前髪をスッキリさせてきた。

 

これ以上書くと私の品位が疑われ、それすなわち丸亀製麺の品位への疑念となってしまうので止めておこう。

 

「今日のうどん、柔らかくね?」

 

そんな「今日のあいつ、かわいくね?」といった、青春の甘くも酸っぱい1ページを丸亀製麺は体現してくれる。

 

さて、一度食べるとそれは一瞬だ。山々になった黄金比の双極も刹那、虚無に成り果てる。

 

一息ついたらすぐに席を立とう。丸亀製麺を楽しむ人をより増やすためだ。

 

お盆を返し、忘れてはならないものがある。

 

ごちそうさまでした!!

 

感謝、それは感謝である。

このような巡り合わせに感謝して店を出なくてはならない。これはどこに行こうと同じことである。

食べ物と作った人には感謝を。

 

 

さて、長くなったが、少しでも魅力に感じていただけたのなら、これ以上の喜びはない。

 

 

よろしけば近所の丸亀製麺に行き、讃岐うどんの扉を叩いてみてはいかがだろうか?